産休は、原則として出産予定日の6週間前から取得できます。双子以上の妊娠では、出産予定日の14週間前から取得可能です。ただし、産前休業は自動的に始まるのではなく、本人が勤務先に請求する必要があります。
この記事では、出産予定日から産休開始日を計算する方法、予定日より早く生まれた場合・遅れた場合の扱い、会社への申請、産休中に受け取れる可能性があるお金について、当事者向けにわかりやすく解説します。
産休はいつから?原則は出産予定日の6週間前
単胎妊娠の場合、産前休業は出産予定日の6週間前の日から、本人が請求した場合に取得できます。ここでいう産休は、労働基準法上の産前休業と産後休業を合わせた呼び方です。
産前休業は、出産予定日を基準に開始日を決めます。たとえば、出産予定日が10月1日であれば、原則としてその6週間前にあたる8月20日ごろが産前休業の開始日です。ただし、会社の勤怠システムや申請書では、開始日・最終出勤日・有給休暇の取得日をどのように記載するかが異なる場合があります。
予定日当日まで働くことも制度上は可能です。産前休業は、妊娠した人が必ず6週間休まなければならない制度ではなく、本人が請求した場合に会社が就業させてはいけない制度だからです。一方、医師や助産師から休業・業務軽減を指示されている場合は、母体や胎児の状態を優先して勤務先に相談しましょう。
- 単胎妊娠:出産予定日の6週間前から請求可能
- 双胎以上の妊娠:出産予定日の14週間前から請求可能
- 産前休業:本人が請求して取得する
- 産後休業:出産日の翌日から原則8週間
妊娠週数や出産予定日は、医療機関の診断を基準にします。最終的な開始日や社内手続きは会社の担当部署に確認し、制度の最新情報は厚生労働省、都道府県労働局、加入している健康保険の公式情報で必ず確認してください。
出産予定日から産休開始日を数える方法
産前休業の開始日は、出産予定日から暦の上で6週間、つまり42日前をさかのぼって計算します。土日祝日や会社の休日も含めて数えるため、営業日ではなくカレンダー上の日付で考えるのがポイントです。
たとえば、出産予定日が10月1日の場合、6週間前の日は8月20日です。この日から産前休業を請求できます。最終出勤日を8月19日にするか、その前に年次有給休暇を取得するかは、本人と会社で決めます。
産休開始日の計算例
- 出産予定日が4月1日:原則として2月18日ごろから
- 出産予定日が7月15日:原則として6月3日ごろから
- 出産予定日が10月1日:原則として8月20日ごろから
- 出産予定日が1月10日:原則として前年11月29日ごろから
上記は予定日から42日をさかのぼる考え方の例です。月をまたぐ場合や、うるう年、日付の扱いによって混乱しやすいため、実際には勤務先の人事・労務担当者に開始予定日を確認すると安心です。
また、産休前に有給休暇を使う場合は、産休の開始日と有給休暇の最終日が重ならないよう注意が必要です。有給休暇を取得している期間は通常の賃金が支払われる一方、産休期間には別の給付制度が関係するため、給与・出産手当金・社会保険料の扱いを一緒に確認しましょう。
双子以上を妊娠している場合は産休が14週間前から
双子、三つ子などの多胎妊娠では、産前休業を出産予定日の14週間前から請求できます。単胎妊娠の6週間前よりも早く休業を開始できるのは、多胎妊娠では母体への負担が大きくなりやすく、健康上の配慮が必要になる場合があるためです。
たとえば、双子の出産予定日が10月1日なら、14週間前にあたる6月24日ごろから産前休業を請求できます。実際の開始日は、医療機関が発行する診断書や母子健康手帳に記載された出産予定日をもとに確認します。
多胎妊娠であっても、出産予定日の14週間前から必ず休まなければならないわけではありません。体調に問題がなく、本人が希望して働き続けることもできます。ただし、妊娠中の勤務が難しい場合は、産前休業だけでなく、医師の指導による勤務時間短縮、休憩の追加、作業制限、休業などの措置を利用できる可能性があります。
多胎妊娠では、妊婦健診の頻度や体調の変化、管理入院の可能性なども単胎妊娠と異なることがあります。産休の申請日だけでなく、急に休むことになった場合の連絡方法、引き継ぎ、診断書の提出方法も早めに確認しておくと安心です。
なお、多胎妊娠に該当するか、産前休業の起算日をどのように扱うかは、法令と会社の手続きに基づいて判断されます。出産予定日が確定したら、勤務先に妊娠と多胎妊娠であることを伝え、最新の制度情報を確認してください。
予定日より早く生まれた場合の産休はどうなる?
出産予定日より前に出産した場合、産前休業は実際の出産日までとなり、出産日の翌日から産後休業に移ります。予定していた産休開始日より前に出産した場合でも、出産日以降は産後休業の期間として扱われます。
たとえば、出産予定日が10月1日で、産前休業を8月20日から申請していたところ、9月20日に出産したケースを考えます。この場合、産前休業は9月20日までとなり、9月21日から産後休業が始まります。会社への連絡は、本人が難しいときには家族や医療機関から行う方法も含め、あらかじめ確認しておきましょう。
予定日より早い出産では、申請書や勤怠の修正、健康保険の給付申請などを後から行うことがあります。出産日が確定したら、勤務先の人事・労務担当者に連絡し、次の手続きを確認してください。
- 出産日と出産時刻を会社へ連絡する
- 産前休業から産後休業への変更を確認する
- 出産手当金の申請書に必要な医師・助産師の証明を確認する
- 育児休業の開始予定日と申出期限を確認する
- 子どもの健康保険の扶養・加入手続きを確認する
出産直後は本人が手続きをするのが難しいため、申請書類を産休前に受け取っておくと便利です。会社によっては、出産後にメールやオンラインシステムで報告できる場合もあります。
予定日を過ぎた場合、産休はいつまで続く?
出産予定日を過ぎても出産していない場合、産前休業は実際の出産日まで続きます。出産予定日を過ぎたからといって、予定日から自動的に産後休業が始まるわけではありません。
たとえば、出産予定日が10月1日で、実際の出産日が10月8日になった場合、10月2日から10月7日までの期間も産前休業として扱われ、10月8日の出産日まで続きます。産後休業は原則として出産日の翌日から始まります。
予定日を過ぎると、会社から出勤再開を求められるのではないかと不安になる人もいます。しかし、産前休業を請求している期間中であれば、出産日までは産前休業として扱われます。予定日を過ぎた場合は、医療機関の指示を受けながら過ごし、会社には健診結果や出産予定日の変更状況を連絡しましょう。
ただし、出産手当金の対象期間や給与の支払い、欠勤扱いの有無は、休業の申請状況や健康保険の加入条件によって確認が必要です。予定日を過ぎた場合の扱いを、産休申請時に人事担当者へ質問しておくと手続きがスムーズです。
なお、産後休業の起算日は、実際の出産日を基準に決まります。出産予定日を基準に産後休業の終了日を先に計算していても、実際の出産日が変われば終了予定日も変わるため、出産後に会社と再確認してください。
産前休業と産後休業の違いを確認しよう
産休には、出産前の産前休業と、出産後の産後休業があります。両者は取得できる時期と、本人の希望だけで変更できるかどうかが異なります。
産前休業の特徴
産前休業は、単胎妊娠なら出産予定日の6週間前、多胎妊娠なら14週間前から請求できます。本人が請求しなければ、予定日まで働くこともできます。ただし、妊娠中の健康状態や医師の指示によっては、別の就業上の配慮が必要になることがあります。
産後休業の特徴
産後休業は、実際の出産日の翌日から原則として8週間です。産後6週間を経過するまでは、本人が希望しても原則として就業できません。産後6週間を過ぎた後は、本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に限り就業できる場合があります。
ここでいう出産には、妊娠4か月以上の分娩が含まれ、死産や流産などが関係する場合もあります。個別の事情によって休業期間や必要な手続きが異なることがあるため、該当する場合は会社の担当者や都道府県労働局に相談してください。
| 項目 | 産前休業 | 産後休業 |
|---|---|---|
| 開始時期 | 出産予定日の6週間前から | 実際の出産日の翌日から |
| 多胎妊娠 | 出産予定日の14週間前から | 単胎妊娠と同様に出産日の翌日から |
| 取得の考え方 | 本人の請求により取得 | 原則として就業不可 |
| 終了時期 | 実際の出産日まで | 原則として産後8週間経過後 |
表は一般的な制度の概要です。休業期間の数え方や例外的な就業の可否については、必ず最新の公式情報と勤務先の案内を確認してください。
産休を取るために会社へ申請する時期と方法
産休を取得する場合は、出産予定日がわかった段階で勤務先に相談し、会社が定める方法で産前休業を請求します。法律上の開始日だけでなく、会社の申請期限、引き継ぎ、給与や社会保険の処理を確認することが重要です。
申請前に確認すること
- 出産予定日と単胎・多胎の区分
- 産前休業の開始予定日と最終出勤日
- 有給休暇を産休前に取得するか
- 会社所定の産前産後休業申請書の有無
- 診断書や母子健康手帳の写しが必要か
- 出産後の連絡方法と必要書類
- 育児休業の申出期限と復職予定日
産前休業の請求方法は、書面、社内システム、メール、上司への申し出など会社によって異なります。口頭で伝えた場合でも、後から申請書の提出が必要になることがあるため、提出期限と保存方法を確認してください。
会社への申請文には、たとえば「出産予定日が○月○日のため、○月○日から産前休業を取得したい」と記載します。最終出勤日を有給休暇にする場合は、「○月○日から○月○日まで年次有給休暇を取得し、○月○日から産前休業を開始したい」というように、休みの種類を分けて記載すると誤解が起きにくくなります。
会社が産休の取得を理由に解雇、雇止め、降格などの不利益な扱いをすることは認められません。取得をためらう事情がある場合は、社内の相談窓口、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などに相談できます。
産休中に受け取れるお金と社会保険料の扱い
産休中に関係する代表的な制度は、健康保険から支給される可能性がある出産手当金と、出産費用を対象とする出産育児一時金です。これらは支給条件、対象期間、申請先、勤務先から給与が支払われた場合の調整が異なります。
出産手当金
出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のために休み、その期間について給与の支払いを受けられない場合などに、一定の条件を満たすと支給される給付です。対象期間は、出産前の一定期間と出産後の一定期間を合わせた範囲ですが、実際の出産日や給与の支払い状況によって変わります。
支給額は標準報酬や休業期間などをもとに計算されます。給与の一部が支払われている場合は、出産手当金との差額のみ、または支給対象外となる可能性があります。扶養に入っている人、国民健康保険に加入している人、勤務先の健康保険の被保険者ではない人などは、同じ条件で受け取れるとは限りません。
出産育児一時金
出産育児一時金は、出産にかかる経済的負担を軽減するための制度です。加入している健康保険から支給され、医療機関への直接支払制度を利用できる場合があります。支給額や対象となる出産、申請方法は制度改正や加入先によって変わるため、加入している健康保険の公式案内を確認してください。
社会保険料の免除
産前産後休業中は、一定の要件を満たして勤務先が手続きを行うことで、健康保険料と厚生年金保険料が免除される制度があります。免除期間は将来の年金額を計算する際に、保険料を納めた期間として扱われます。
出産手当金の支給額、対象期間、社会保険料免除の開始月などは、加入先や休業期間によって確認が必要です。金額や条件は変更される可能性があるため、必ず最新の全国健康保険協会、健康保険組合、日本年金機構などの公式情報を確認してください。
産休から育休へ移るときに必要な手続き
産後休業が終わった後も仕事を休みたい場合は、原則として育児休業を申し出ます。産休と育休は別の制度であり、産休を申請しただけで育休まで自動的に取得できるわけではありません。
女性が出産した場合、育児休業は通常、産後休業の終了後から始まります。育児休業の申出には期限があり、会社の規程や子どもの出生状況によって必要書類が異なります。出産前の段階で、育児休業の開始予定日、終了予定日、申出期限、保育所に入れない場合の延長手続きを確認しておきましょう。
産休前に確認したい育休関連の項目
- 育児休業申出書の提出期限
- 子どもの出生後に提出する書類
- 育児休業給付の申請を会社が行うか本人が行うか
- 復職予定日と短時間勤務制度の利用方法
- 保育所の申込み時期と不承諾時の手続き
- 子どもの健康保険加入や扶養手続き
育児休業給付は雇用保険の制度で、受給資格や支給額、支給期間には条件があります。雇用形態、雇用保険の加入状況、休業中の就業状況などによって異なるため、最新のハローワークや厚生労働省の公式情報を確認してください。
なお、復職後に子どもの送迎や通院のため働き方を変えたい場合は、短時間勤務、残業免除、子の看護等休暇などの制度も検討できます。産休の申請と同時に、復職後の働き方について相談しておくと、職場復帰への準備がしやすくなります。
産休開始日を決める前のチェックリスト
産休開始日は出産予定日から計算できますが、実際の準備では休業開始日だけでなく、給与・給付・引き継ぎ・復職まで確認することが大切です。次の項目を順番に確認しましょう。
- 母子健康手帳などで出産予定日を確認する
- 単胎妊娠か多胎妊娠かを確認する
- 出産予定日の6週間前、または14週間前の日を計算する
- 産休前に有給休暇を使うか決める
- 会社へ産前休業の開始希望日を伝える
- 必要な申請書と提出期限を確認する
- 引き継ぎ内容と緊急連絡先を整理する
- 出産手当金や出産育児一時金の申請方法を確認する
- 社会保険料免除の手続きを会社に確認する
- 育児休業と復職後の働き方を相談する
体調が変化しやすい時期は、予定どおりに最終出勤日を迎えられないこともあります。引き継ぎ資料や連絡先は、余裕のある時期に準備しておきましょう。急な入院や早産に備え、家族にも会社への連絡方法や必要書類の保管場所を伝えておくと安心です。
産休の開始時期に迷ったときは、主治医の意見を最優先にしながら、上司や人事・労務担当者に相談してください。制度の利用は権利ですが、申請方法や社内の連絡手順を早く確認することで、出産直前の負担を減らせます。
産休はいつから?よくある質問
Q1. 産休は出産予定日の6週間前から必ず休む制度ですか?
いいえ。単胎妊娠の場合、出産予定日の6週間前から産前休業を請求できますが、本人が希望して働き続けることもできます。ただし、産前休業を請求した場合、会社は原則として就業させることができません。体調や医師の指示に不安がある場合は、無理に働かず会社と医療機関へ相談してください。
Q2. 出産予定日が10月1日の場合、産休は8月20日からですか?
出産予定日から42日をさかのぼると、原則として8月20日が産前休業の開始日です。ただし、実際の申請日、会社の書式、有給休暇の取得状況によって勤務上の最終出勤日は変わります。人事・労務担当者に開始日を確認してください。
Q3. 予定日を過ぎても出産しない場合、産休は終わりますか?
いいえ。予定日を過ぎても、産前休業は実際の出産日まで続きます。産後休業は、予定日ではなく実際の出産日の翌日から始まります。出産日が確定したら、会社へ連絡して休業期間や給付申請の書類を確認しましょう。
Q4. 産休の申請はいつまでにすればよいですか?
法律上の休業開始日と、会社への申請期限は別に考える必要があります。会社によって申請書や社内規程が異なるため、出産予定日がわかった時点、遅くとも産休開始日の前に人事・労務担当者へ確認してください。体調不良などで急に休む可能性も考え、早めの相談がおすすめです。
Q5. 産休中は給与や手当を受け取れますか?
産休中の給与は会社の規程によって異なり、無給となるケースもあります。健康保険の加入条件を満たしていれば出産手当金の対象になる可能性がありますが、支給額や期間は個別に計算されます。また、出産育児一時金や社会保険料免除も別の制度です。金額や条件は必ず加入している健康保険、勤務先、日本年金機構などの最新の公式情報を確認してください。
まとめ:出産予定日から産休開始日を早めに確認しよう
産休は、単胎妊娠なら出産予定日の6週間前から、多胎妊娠なら14週間前から請求できます。産前休業の終了日は予定日ではなく実際の出産日が基準となり、産後休業は出産日の翌日から始まります。
産休をスムーズに取得するには、出産予定日から開始日を計算したうえで、会社への申請期限、有給休暇の取得、引き継ぎ、出産手当金、社会保険料免除、育児休業までまとめて確認することが大切です。制度の金額や条件は変更されることがあるため、必ず勤務先と各制度の公式情報を確認してください。





